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複合的症例
2025/05/23
意識レベル低下を認めた高齢女性への対応
#マグネシウム中毒 #高齢者薬物療法 #電解質異常 #特養看護 #パーキンソン病 #便秘薬副作用 #腎機能低下 #薬剤性低血圧などの視点から考える症例
患者情報
82歳女性。既往歴はパーキンソン病、高血圧、骨粗鬆症、便秘症である。要介護4で特養入所3年目である。ADLは車椅子移乗要介助、食事は刻み食で自力摂取可能、排泄はオムツ使用である。認知機能は軽度低下があるが簡単な会話は可能である。内服薬はレボドパ・カルビドパ配合薬100mg×3回、アムロジピン2.5mg、アレンドロン酸35mg(週1回)、酸化マグネシウム330mg×2回を定期服用している。普段のパーキンソン症状は内服により比較的安定しており、振戦や筋強剛は軽度である。食事摂取は安定しているが、時々むせ込みがあるため水分にはとろみ剤を使用している。家族は月2回程度面会に来所している。最近1週間は便秘気味で、2日前より酸化マグネシウムを1日3回に増量していた。
現在の状況
金曜日21時、夜勤巡回時に「なんだか変」と職員から報告あり。夕食は完食したが、その後から「ぼーっとしている」様子が続いている。バイタルサイン:血圧96/58mmHg、脈拍52/分、体温36.8℃、呼吸数18/分、SpO2 96%。意識レベル:呼名で開眼するが反応やや鈍い、簡単な質問には答えるが時間がかかる。普段より表情が乏しく、パーキンソン症状が増強している印象(動作緩慢、筋強剛増加)。軽度の発汗あり、皮膚は冷たく湿潤。嘔気や嘔吐なし、腹部不快感の訴えなし。排尿は普段通り、排便は2日前に少量あり。水分摂取は拒否しないが積極性に欠ける。家族連絡は翌朝予定、嘱託医は不在である。